もみぢ葉
寛保四年(1744)
作詞 不明
作曲 初代 杵屋新右衛門
もみぢ葉の 青葉に茂る夏木立 春は昔になりけらし 
世渡る中の品々に 我は親同胞の為に沈みし恋の淵 浮びもやらぬ流れのうき身 
憂いぞつらいぞ勤めの習ひ 煙草呑んでも煙管より 咽喉が通らぬ薄煙 
泣いて明かさぬ夜半とてもなし 人の眺めとなる身はほんに 
辛苦万苦の苦の世界 四季の紋日は小車や 



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本曲は、「高尾さんげ」の中の一節です。
解説は「高尾さんげ」の項目をご覧下さい。



【こんなカンジで読んでみました】

紅葉するもみじの葉は、いつでも赤いものだとお思いですか。若葉が青々と茂る、今は夏。
私の華やかだった春は、もうとっくの昔に過ぎてしまったようです。
世間を生きる数々のなりわいの中で、私は親兄弟のために廓の深い淀みに沈み、
ふたたび浮かび上がることのできない遊女の身の上となりました。
廓で勤めする者の定め、私ひとりのことではないけれど、とてもつらくて苦しいです。
煙管が詰まるより先に、胸がつまって、煙草の薄煙だってのどを通らない。
涙のこぼれない夜はありません。
誰かに眺められて生きていくために、夢のように着飾って、いつもほほえんでいるけれど、
廓は苦界、苦しみばかりの世界です。
四季がめぐり、また紋日がやってくる。
手紙を書かなくちゃ、嘘をたくさん書いて、誰かお客を呼ばなくちゃ。