細棹・中棹・太棹

 三味線の全長は約3尺2寸(100cm前後)で、基本的な構造は、長唄三味線も地歌も義太夫も全く同じです。しかし、棹・胴の寸法は微妙に異なり、バチや駒の材料・大きさも様々です。この違いがそれぞれの音色の差異となって現れます。

 棹の太さによって、三味線は「細棹(ほそざお)」「中棹(ちゅうざお)」「太棹(ふとざお)」に大別されます。
 棹は、下棹に向かって僅かに太くなっています。また、棹の厚みも太さに伴って厚くなります。(右下写真参照)

※三味線の棹の太さとは、右図の破線を指します。

   細棹……長唄 荻江
   中棹……清元 常磐津 新内 一中 地歌 小唄 端唄
   太棹……義太夫
※本サイトでは、「地歌」は野川流について記し、柳川流は「柳川」と記します。柳川は、細棹より更に細い棹です。

 具体的に「細棹」「中棹」「太棹」でどのくらいの違いがあるのかですが、下記の寸法は、ある三絃師による近年の寸法例です。
   細棹……8分4厘(±2厘)(25.4mm ±0.6mm)
   中棹……8分8厘(±2厘)(26.6mm ±0.6mm)
   太棹……9分2厘(±2厘)(27.8mm ±0.6mm)
棹の断面図で比べると、各棹で違いがあることがわかります。そして、実際に棹を持ち比べると僅かな差でも大きく感じられます。